公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~

「なるほどな」と納得した様子の彼は、「出がけのついでに買ってやる。行くぞ」と先に立って歩き出す。

その大きな背中を見ながら後ろに続く私は、贅沢品など欲しくないと考える。

しかし、それらが彼を落とすために必要であるというのなら、手に入れたいとも思っていた。


広い屋敷の廊下の角を二度曲がり、玄関ホールまで来たら、玄関ドアの横に控えているオズワルドさんの姿を目にした。

どうやら彼は外出に同行しないらしい。

「行ってらっしゃいませ」とジェイル様にのみ頭を下げる近侍は、珍しくその後に私にも声をかけてくれた。


「クレアさん、ジェイル様のお手を煩わせないよう、気をつけてください」


オズワルドさんの物事の捉え方はきっと、主人にとってどういう影響や利害があるのかということに終始するのだろう。

だから私には、注意の言葉しかかけてくれない。

それに対して、『立派な忠誠心ね』と思うだけで非難の気持ちは一切なく、「はい、分かりました」と無表情に答えれば、ジェイル様が隣でクッと笑った。

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