公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~

「お前たち、ひと月半も同じ屋敷で暮らしているんだ。もう少し打ち解けたらどうだ?」


その提案に、「ジェイル様がそうしろと言うのなら」と答える声がオズワルドさんと被り、思わず彼と目を見合わせる。

「なんだ、気が合ってるじゃないか」と、ジェイル様はひとり、愉快そうに肩を揺らして笑っていた。


外に出ると、玄関ポーチ前の馬車止めに、中型の馬車が一台止められているのを目にした。

それを引くのは栗毛の美しい二頭の馬。

馬車を使うということは、王都の広い範囲を案内してくれるということだろう。


御者が恭しくドアを開けてくれて、ジェイル様は紳士的に私を先に乗せた。

続いて彼も乗り込み、隣の座席に腰を下ろす。

馬車はゆっくりと走り出し、石畳の長いアプローチを抜けて門の外へ出ると、オルドリッジ家の邸宅全体が確認できた。


この屋敷は左右対称のH型をしている三階建ての建物で、白塗りの壁は一部が大理石で飾られている。

屋根は灰色がかった青緑の瓦で、三角形の上部を切り取ったような形状だ。

住人の堅実さを想像させるような屋敷だが、アーチ型の窓や円形に広がる玄関ポーチの曲線が、そのきっちりとした印象をいくらか和らげてくれていた。

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