公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~

一周歩くのに十分はかかりそうな広い前庭も左右対称で、緑は直線的に切り揃えられ、芝生はいつも同じ長さに整えられている。

余計な草は一本も生えていないのではないだろうか。

防火用の丸い池には、白大理石の彫像が三体。

いかにも貴族的で、オルドリッジ家の財力を窺わせるような邸宅は、門の外に出てしばらく進むと、他の建物に視界を遮られて見えなくなった。


四階建ての似たような外観の庭のない屋敷が軒を連ね、これはなにかと尋ねたら、庶民が部屋を借りて住む集合住宅だと教えられた。

ゴラスの集合住宅と言えば、平屋の長屋。

王都の民はこんなに立派な屋敷に住まうのかと驚きを持って眺める。


役所と銀行。病院と郵便施設、ブティックに劇場に画廊……。

広い大通りに建ち並ぶ店々は、古い歴史と新しい流行の両方を感じさせる店構えで、それぞれの調和がとれていて外観的に美しい。

ここを見た後では、ゴラスのメインストリート沿いの高級店は、張りぼてで作られた紛い物のように感じてしまう。

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