公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
店員の目が私に向いて、「まぁ、白百合のようにお美しいお嬢様でいらっしゃいますこと!」と大袈裟に褒められた。
ジェイル様はクッと笑い、「黙っていれば白百合かもな」と皮肉を言う。
ジロリと横目で彼を睨んだが、「公爵の縁のお嬢様でいらっしゃいますか?」と店員に問いかけられて、なんと答えようかと思案する。
素性を誰にもバラすなと言われているから……。
ニッコリと作り笑顔を浮かべた私は、冗談めかしてこんな返しをした。
「オルドリッジ公爵とは、なんの繋がりもありません。公爵は道端に落ちていた石ころのような私を拾ってくれたんです。どうやら、小石拾いが趣味のようで」
「はぁ」と生返事をする女性店員に対して、ジェイル様だけは声をあげて笑っていた。
どうやら私の返答を気に入ってくれたようだ。
帽子は普段使いのものから、なぜか正装用、儀礼用、訪問用と、種類や色形も様々に八つも買ってもらった。
その店を出て、「こんなにあっても使い道がないわ。もったいない」と贅沢を非難すれば、「俺は金持ちだから気にするな」と笑われた。
その後には、「そのうち使う日も来るはずだ」と、意味深長な言葉も付け足される。