公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~

買い物を済ませ馬車に戻ると、御者は馬の鼻面を横道に向け、住宅が建ち並ぶ中を南へと走らせる。


「次はどこへ行くの?」

「港を見せてやる。王都の港は大きいぞ。きっとお前には珍しく目に映るだろう」


王都と言えどもやはり、大通りから外れると景観の質は下がる。

この辺りは装飾性の低い平屋の民家が軒を連ね、庶民の生活路といった雰囲気だ。

道行く人々の身なりも、素朴で機能的。

それでもゴラスとは比べ物にならないほど、豊かな生活を送っているように見えるけれど。


二十分ほど南に進むと、急に景色が開ける。

石のブロックを緻密に積み上げた倉庫と思しき大きな建物が、前方に十二棟も建ち並び、その手前は石畳の広場のようになっていた。

噴水が涼しげに水飛沫を上げ、木陰にベンチが置いてある。

幌を上げた馬車の荷台で雑貨を売っていたり、天幕の下に木箱を並べ、魚介類や果物、食器などを売る店が広場の中央に集まって商いをしていた。

たくさんの店に、買い手も大勢群がっている。

活気に満ち溢れたこの場所は、とても面白そうだ。

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