公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
興味を惹かれるままにあちこちの店を見て回り、珍しい食べ物を見つけては立ち止まる。
すると、離れずにピッタリと隣についてくる彼が言う。
「クレアが食べ物に興味を示すとは珍しいな。食べたいなら買ってやるぞ?」
「私が食事を苦痛に感じることは、前に話したでしょう? 残念だけど食べたいとは思わないわ。でも興味はあるのよ。ゴラスではよくベーコンのことを考えていたわ」
そう答えたら、ベーコンを食べたがっていたリッキーの顔が浮かんだ。
ここでたくさんの食材を購入してゴラスに送ってあげたい気持ちだが、現実的に不可能。
輸送費というのはなによりも高く、必ずしも目的地に送り届けられるとも限らない。
途中で盗まれたり、食べ物は腐ってしまうからと、初めから断られることもあると聞く。
早く目的を遂げてゴラスに帰り、あの子たちをお腹いっぱいにしてあげたい……。
その気持ちは口に出していないので、ジェイル様は解せないといった顔をして、質問を重ねてきた。
「ベーコンなら食べたいと思うのか? それなら毎食出してやるが」
「違うわ。ベーコンが好きなのは、私じゃなくてリッキーよ」
「誰だ?」
「ゴラスの孤児院の子供。面倒をみていたの。私も二年間そこで育ったから」