へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする
ライザは俯きがちの私にさらに顔を近付けてきて、「それなら交換条件だ」と耳元で囁いた。
「……なに?」
どんな無理難題を押し付けられるのだろう。
ライザのことだから、一生俺の下僕になるならいいぞ、だとか絶対に飲み込めないような条件を出してきそうだ。
ビクビクしながら聞き返し、ちらりと目だけをライザに向けるとライザはやっぱりニヤリと口元を歪ませていた。
「俺も今夜、寮を抜け出すつもりなんだ。だからお前も抜け出せ」
「えっ……私も?何をするつもりなの?」
「今宵は満月だろ?魔法使いや魔獣の魔力が高まる日だ。だから俺は俺の魔力がどれほど上がってるのかを、魔獣と戦うことで知りたいんだよ」
ライザはつまり私を、先生が来ないか見張り役としてそばに置いておきたいということか。
そんなの絶対に嫌だ。
ライザが魔獣と戦うだなんて、私まで巻き込まれそうで怖い。
ルキは私を最後まで守ってくれたけど、ライザが私を守ってくれるとは到底思えない。
満月の光を浴びれば私の魔力だって上がるはずだけれど、だからといって私はまだ魔獣から身を守れるほどの力量はない。
「さぁ……どうする?今夜だけでいいんだ。その条件が飲めるなら、魔獣がカメラに収めた映像はすぐに消してやる」
ライザは黒いズボンのポケットから小型のカメラを取り出すと、私とルキの姿が映されている画像を見せてくれた。
この画像がある限り、私はカサエル先生に何も言い訳ができなくなる。
もしライザに寮を抜け出していたことをカサエル先生に告げ口されてしまえば、寮を抜け出す手助けをしてくれたエイミーも、もちろんルキも叱られることになってしまう。
それは嫌だ。