へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする
「……本当に画像を消してくれるの?」
「あぁ、もちろんだとも。で、どうする?今夜の0時、男子寮の前まで来るのか、それとも来ないのか」
やっぱり行きたくない。
行きたくない……けど、たった一度、しかもほんの2時間ほど抜け出すくらいでエイミーとルキを巻き込まなくてすむのなら…。
私まで魔獣に襲われてしまったらどうしようという不安はあるけれど、「わかった、行くよ…」と小さな声で頷いた。
するとライザは私の肩に回していた腕をぱっと離し、「このことは誰にも言うなよ」とニヤニヤしながら上機嫌で教室に入って行った。
肩に回されていたライザの腕が離れたことで、こわばっていた全身の力が一気に抜けた。
「はぁ……とんでもないことになっちゃったなぁ」
廊下にはちらほらとクラスメイトがいるのに、思わずそんな大きなひとりごとを洩らしてしまうほど、今から夜が憂鬱で仕方がない。
魔獣と戦うことで自分の強さを知りたい、だなんて危険すぎる。
満月だからライザの魔力も上がるだろうけど、そのぶん魔獣の魔力だって上がっているのだから。
もしかしたら負けるかもしれない、とかライザは考えないのだろうか。
昨夜魔獣に襲われたことで、夜に寮から抜け出すことの危険さを身を持って味わったばかりだから、ライザが出した条件は気が重たくて仕方がない。
嫌だ。
本当に行きたくない。
廊下の壁に背中を預け、力なくずるずると座りこんだちょうどそのとき。
廊下の曲がり角から、こちらに向かって歩いてくるルキの姿が目に入った。