へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする
「もしかして私のこと……嫌になった?」
ルキは今にも泣き出しそうな私をじっと見つめながら「メイベル…」と、眉間のシワを深めながら私の名前を呼んだ。
その顔はなぜだか辛そうだった。
優しい声で名前を呼ばれた途端、我慢していた涙が一筋頬を伝う。
慌てて右手で拭ったけれど、ぽたぽたと溢れ落ちてくる涙はそう簡単には止まってくれない。
「ごめんっ……なんだか涙が止まらなくなっちゃって…。気にしないでっ!」
ルキはそんな私を見ながら深いため息をこぼすと、ズボンのポケットから黒いチェック柄のハンカチを出し「これで涙を拭いて」と手渡してきた。
「メイベル……君に、話さなければいけないことがある。今夜もまた、昨日会った外灯の下で会いたい」
ルキに会いたいと言われたのははじめてだった。
それなのに少しも嬉しく思えないのは、ルキが辛そうな顔をしたままそう言ったから。
なんとなくだけれど、私にとっては喜ばしくない話しなのだろうな。
ルキの口から飛び出すのは、私を拒絶する言葉かもしれない。
その言葉を聞いてしまえば、これまでに築きあげてきたルキとの関係が破綻してしまうかもしれない。
そう思うと聞きたくなんてなかったけれど、ルキがやけに真剣だったから断ることもできなかった。
「わかった……じゃあ消灯したあとすぐに行くよ」
ルキに手渡されたハンカチで目頭を抑えながら頷く。
ルキは無言のままくるりと黒いマントを翻し、颯爽と教室の中へ消えていった。