へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする


一瞬の間でイメージしたのは、直径1メートルくらいの岩が、空から雨のように降り注ぐ魔法。

ロックブラスト、という名のついた広範囲攻撃魔法だ。



「お願いっ……うまくいって‼」



普段は何をやっても失敗ばかりの私だけど、私の祈りが神に通じたのか。

脳内で思い描いたとおり、直径1メートルほどの巨大な岩が、2体の魔獣をめがけて雨のように降り注いだ。



犬と大蛇の頭や腹に、休まる暇を与えることなく落ちる大岩。

2体の魔獣は逃げる間もなく、岩に押しつぶされるようにして倒れこんだ。



「はぁはぁ……やっつけた…?」



2体の魔獣の姿が、無数に転がる大岩と舞い上がる砂埃で見えない。



満月の光で膨れあがった魔力を、ふんだんにつかって仕掛けたとっておきの魔法。

時間にすればほんの10秒ほど魔法をつかっただけなのに、それでも息が乱れてしまうほど魔力を消費してしまった。



これで2体を倒すことができなかったら、残された僅かな魔力ではもう勝ち目がない。



お願いだから立ち上がらないで。

息を切らせながらも祈るような目で、大岩の中に消えた2体の魔獣を見つめる。

砂埃が完全に消えたあとも、2体を押しつぶす大岩が動く気配はなさそうだ。



「良かった……もう大丈夫みたい。あはは……まさかこの私が、一気に2体の魔獣を倒せるなんて…」



肩で大きく息をしながら、崩れ落ちるようにして砂地にがくんと座りこんだ。

< 229 / 292 >

この作品をシェア

pagetop