へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする
「ルキ様の匂いがだんだんはっきりしてきたから、きっとそう遠くないはずだよ。その付近にはルキ様と似た匂いの、他の誰かの匂いも感じるし何か焦げた匂いもするから急ごう」
ルキと似た匂いの誰かというのは、きっとレックスさんだ。
焦げた匂いがするというのは、ルキとレックスさんが闘っているのかもしれない。
「うんっ、急ごうピーちゃん!なんだか嫌な予感がするの!」
「シンクロはあまり長い時間は持たないから、魔獣に襲われないうちにルキ様の元に行かなきゃ」
「そうだね。今は魔獣と闘っている暇はないもんね」
秘密のアトリエらしき小屋の前まで来て、ピーちゃんがさらに奥へと歩を進めはじめたときのことだ。
森の奥から思わず耳を塞いでしまうほどの大きな爆発音と、たくさんの木々が倒れる音が聞こえてきた。
「なっ……なに⁉」
はっと足を止めたピーちゃんの背中にぎゅっとしがみつく。
ピーちゃんは音が聞こえてきた方向に目をやり「ルキ様の匂いが凄いスピードで濃くなってくる…?」と呟いた。
かと思えば「メイベル、伏せて‼」と振り返っては、私を押し倒すようにして覆い被さってきた。