へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする


エイミーにもライザに言ったように、森の中へ迷いこんだピーちゃんを探しに行ったんだと話している。

そのときにレックスさんを怒らせてしまったことも、ライザに助けられたことも話した。



エイミーは私の話しを聞きながら『ライザにも人の心があったのね』と終始驚きっぱなしだったり。

今でもやっぱり信じられないみたいで『あのライザが…』を聞いたのは、今日だけでも6回目だ。



「なに窓の外を見ながらぼーっとしてんだよ。そんな暇があるならちゃんと手を動かせ。俺は早く帰りたいんだよっ‼」

「あっ……あぁ、ごめんごめん…」



教室の窓から校門を見ながら、最近のできごとを思い返していたことでライザを怒らせてしまったようだ。

苦笑いをしながら振り返ると、黒板の周りの床をせっせとホウキで掃いているライザに睨まれた。



エイミーが帰ってしまい、教室の中は私とライザのふたりきりになった。



「あのさ……ライザ。ごめんね、私を助けたばかりにライザまで先生に怒られて…。あとは私がぜんぶやるから、もう帰ってくれてもいいから」



私を探しに森の中に飛び込んだりしなければ、ライザはきっと怒られたりしなかった。

外をうろつく魔獣とほんの少したたかうくらいだったら、きっと脱走がバレたりはしなかっただろう。



私を助けたばかりに先生に見つかってしまったんだ、と思うと申し訳ない気持ちでいっぱいだった。



ホウキを動かす手を止めたライザが振り返ったことで、視線が重なりあった。

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