へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする
「それにしても転校生のやつ……こんなタイミングでしばらく休みって、絶対にレックスさんが捕まったことが原因だよな?」
止まっていたホウキをもつ手をまたせっせと動かしはじめたライザは「ほら、転校生って校長先生の親戚なんだろ?大変だな」とルキを同情するようなことを言いはじめた。
本当は私の魔法せいで、魔獣のルキは消えてしまった。
とは絶対に言えなかったから「そうだね。大変なんだろうね」と苦笑いをすることしかできなかった。
「まぁ今はメディアでもレックスさん逮捕の件でもちきりだし、ほとぼりが冷めなきゃアイツも登校できないだろうな」
「そうかもね…」
ルキの話しをするのは胸が痛む。
ルキの名を耳にするたびに、ルキを消してしまったという罪の意識が濃くなるから。
会いたいなって思ってしまうから。
「よしっ、もうだいぶ綺麗になっただろ。今日の掃除はここらで終わりにするぞ」
「え?あっ……うん!」
ライザは私が手にもっていたホウキをむりやり奪い取ると、教室の隅にある掃除用具いれに2本のホウキを押し込んだ。
「じゃあな、万年最下位。お前もさっさと帰れよ」
「うん、ありがとうライザ。また明日ね」