へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする
「お前もさぞ驚いたことだろう、パルディウス。どこからどう見ても人間にしか見えなかったあの少年が、まさか魔獣だったなんてな」
カサエル先生がこれからなにを話すつもりなのか、なんとなくわかってしまった私は「ルキは確かに魔獣だけど人に危害を加えたりは絶対にしません」と強い眼差しを送った。
「しかし、私は校長として生徒たちをあらゆる危険から守らねばならんのだ」
「……カサエル先生、もしかしてルキを追い出すつもりですか?」
どんなに心優しくてもルキが人間じゃないから?
魔獣だからってだけで、一度は受けいれたくせに厄介払いということ?
たったそれだけの理由で追い出されてしまうなんて、と思うと胸がぎゅっと痛くなった。
「ルキは私のことをなんどもなんども助けてくれたんです‼ルキが助けてくれたから私は生きているんです‼」
高揚感を抑えることができなくなってしまって、はじめてカサエル先生に向かって声を荒げた。
瞳からはぼたぼたと、いくつもの涙が滴り落ちる。
「お前は少年が憎らしくないのか?レックスが指示したとはいえ、お前の両親を死なせてしまったのは少年なんだぞ?」
カサエル先生は取り乱した私に驚くようなこともなければ、怒りもせず、眉ひとつ動かすことなくそう聞き返してきた。