へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする
「憎いなんてそんなこと絶対にありません‼確かにパパとママを死なせてしまったのはルキかもしれないけど…」
ルキに悪意がなかったことはわかってる。
たくさん反省して後悔して、苦しんでいたこともわかってる。
それに私が恨むべき人は、殺せだなんてそんな最低最悪な命令をだしたレックスさんだと思っているから。
「私はルキが魔獣だとしても、パパとママを死なせてしまったのがルキだとしても、ルキのことが好きです。嫌いになんてなれません‼」
カサエル先生は「そうか…」と深いため息を吐いた。
「先生、お願いします。どうかルキを学校にいさせてあげてください!」
深々と頭をさげた瞬間、涙がガラス製のセンターテーブルにぽたぽたと落ちる。
テーブルに映った私の顔は、涙でぐしゃぐしゃだった。
「パルディウス、顔をあげなさい」
顔をあげると、これまでずっと無表情で私の話しを聞いていたカサエル先生が、ふっと控えめな笑みをこぼしていた。
「私は校長として、生徒をあらゆる危険から守らねばならんと言ったよな?」
「はい……お聞きしました…」
「つまりそれは、いかなる魔獣でも校内に入れることは許されないということだ。だがルキ・ヴィクトルはわが校の生徒を危険から守ってくれた。よって、特別に在学を許すことにしよう」