へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする
「そんなお前に朗報がある。レックスが牢獄の中で魔法を使ったそうだ。脱獄しようと鉄格子を壊しかけたらしくてな。地下深くにある厳重なセキュリティの牢獄に移動させられたようだぞ」
「えっ……それって?」
「お前が使った無効化の魔法の効力がきれたってことだ」
レックスさんが魔法を取り戻したということ。
つまりそれは私の魔法で消えてしまったレックスさんの魔獣たちも、また森へ戻るということだ。
ということは、ルキにまた会える?
「ルキも戻ってくるんですよね……?」
「そういうことだ。今ごろ、レックスがつくった魔獣のすべてが何事もなかったようにまたあの森を彷徨っていることだろう」
「ルキっ……‼」
もしかしたらルキが森にいるかもしれない。
そう思うといてもたってもいられなくなって「カサエル先生、ありがとうございました!」と頭をさげ勢いよく席を立った。
今すぐ森に行こうとドアノブに手をかけると、カサエル先生が「お前が使った無効化の魔法のことだが…」と私を引き止めるようなタイミングで話しはじめた。
「一時的にあらゆる魔法を封じ込める無効化の魔法なんて、これまでに見たことも聞いたこともないからきっと特別な魔法だ。むやみやたらに使わず、いざというときにだけ使いなさい」