へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする
きっとまたお前の身を守ってくれるだろう、と言ったカサエル先生はまた優しく笑っていた。
気づけば私の涙もすっかり止まっていた。
カサエル先生の笑顔につられるように、私の頬もゆるゆると緩んでいく。
「はい、カサエル先生!無効化の魔法はパパとママがくれた特別な力だって思ってますから、本当に危ないときにしか使いません」
「そうか…それならなおさら、大切に使いなさい。では気をつけて帰るんだぞ」
丁寧に「失礼しました」と頭をさげ、静かに扉を閉めた。
まだ痛む足を引きずりながら校長室をでて、真っ直ぐに向ったさきはルキと出会ったあの森。
怪我のせいで走れないことをもどかしく思いながら、すっかり薄暗くなってしまった白い小道を早足で歩く。
ルキに会える。
やっとルキに会えるんだ。
ルキに会えなかった時間は3日間と短いのかもしれないけれど、それでも私にとってはやけに長くて辛い3日間だった。
私がルキを消したんだって、自分で自分を責め続けた。
ルキに会いたいって心の中でなんども叫んだんだ。
地面を蹴るたびに痛みを放つ左足を庇いながら、外灯のあかりがぽつぽつ灯る白い小道を抜けた。
男子寮の前についたけど、もうすぐ門限の18時だからか周りには人影は見当たらない。