気まぐれ猫くんの手懐け方

…あれ。

なんでだろう。

なんでこんなに、胸がちくちくするんだろう。


猫くんのこと考えると、苦しい。

訳もわからないまま胸がちくちくして、すごく苦しい。

なのに、考えるのをやめようとすればするほど、やめられないのはなんでなんだろう。


「三毛のこと、好きなの?」

「…え!?」


思わず、玲央くんを見上げる。

な、な、何言ってるの!?

私が…私が……!!?


「い、いや…別にそんなんじゃ……っ!!?」


“そんなんじゃないよ”


そう言って否定するつもりだった。

だけど、誰かに腕を強く引っ張られて最後まで話すことができなかった。


引っ張られた腕の先にいたのは。


「ね、猫くん………!!?」


さっき帰ったはずの、猫くんだった。



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