気まぐれ猫くんの手懐け方
「陽愛」
「!」
教室の外から、名前を呼ばれる。
誰もいないと思っていたから、余計にびっくりして。
肩をふるわせて声のした方を見れば、玲央くんが立っていた。
「れ、玲央くん…?なんで…」
「や、一緒帰らねーかなーっと」
玲央くんは頭を掻きながら、にこりと笑う。
今の聞いてた…かな…?
玲央くんは、教室の中に入ってきて、私の元に近づいてくる。
そして、私の鞄を持ち、私へ差し出してくれた。
「仲、よさそうだな」
「え……?」
「その……三毛と」
「仲、良い…のかな……!?」
猫くんは、私で遊んでるだけ…だよね?
別に、仲がいいとかじゃなくて、単に私の反応を見て、面白がってるだけ…。
「……」
きっと、私は猫くんのおもちゃみたいな存在なんだろうな。