秘密の糸Season1㊤
画面を見るとお母様からだった。


私は、電源を切った。


「み…新川さん…?」


涼汰君は、びっくりしていた。



そして私は涼汰君の背中に、腕を回した。



「何して…」 


「…行かないで」


「え?」


「涼汰君はズルい…。
いつもいつも肝心な時に…私の前に現れる…。」


「…美菜」


いつだって、私を助けてくれた。


いつだって、側にいてくれた。


…付き合っていた時の記憶、声、体温、


繋いだ手…。抱きしめられた腕、…初めてされたキス…。


涼汰君とあった出来事が…


全部、全部、私の中で残ってた…。


新堂さんを大切にしなきゃ。


忘れなきゃ。


そう思って切ったのに…。


「…涼汰君の事、忘れないとって何度も思った。
…でも、出来なかった。
忘れようとすればするほど
どんどん忘れられなくなったの…。」


「美菜…。」


私はまだ、涼汰君が好き。


その気持ちに、気づいた。


「涼汰君が…好きなの…。」


そして私は、涼汰君にキスをした。
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