秘密の糸Season1㊤
「円花!」


声が聞こえた。


振り返ると晋ちゃんが息を切らして立っていた。


「晋ちゃん!」


「円花遅れた!わりぃ!…兄貴?」


「久しぶりだな、晋一。」 


「どうしてここに?」


「さっき、私が二人組の怖そうな人に絡まれて、秀兄ちゃんが助けてくれたの!」


「そうだったんだ、ありがとう兄貴。」


「ああ、なあお前…」



「行くぞ、円花。」


その時、晋ちゃんが私の手首を引っ張った。


「晋一」


「何?」


「…清羅、お前の所に行ってないか?」


(清羅‥?)


「来てないよ、会ってないし。」


「そっか、邪魔したな。またな、円花。」


「バ、バイバイ!」


私は秀兄ちゃんに、手を振った。


そのまま晋ちゃんが、私の手首を掴んでどんどん先に進んだ。


握られた手首が、だんだん痛くなってきた。


「晋ちゃん痛い!!」


「わりぃ…。」


その時晋ちゃんは、手首をぱっと離した。


(どうしたんだろう…?)


その時の晋ちゃんの顔は、…少し怒っていた。
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