秘密の糸Season1㊤
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【秀一side】

❴回想❵


その日俺は、久々に中学の友達と会うことになっていた。



ガラ


「おー!秀一こっちこっちー!」


「おう!」


「じゃあ、乾杯しますか!」


「だな!」


そして、俺達は呑んでいた。


ゴクゴク


「プハアー!元木今、女性ファッション誌の編集部にいるんだろ?仕事どう?」 

元木は俺の親友だった。


元木も俺と同じ、ライターの仕事に就きたかった。


就職した後、元木は女性ファッション誌で働いていた。



「そうだよ、まあーやる事多いし
男の俺からしたら、学ぶことばっかだよ。」


「…大変そうだな…。」

その時俺は、ただ女性ファッション誌の仕事は苦痛ばかりだと思っていた。

所詮は女性ファッション誌だ。



所詮男の俺達には、分からない事ばかりだ。


そう思っていた。



「でも楽しいんだよな?」



「…楽しい?」



「おう。
まずいちから皆で企画を提案する。
で、皆で決めていく。
そしてそこからページを作っていく。
そしてやっと…完成し一つの雑誌になる。
大変だけど、
でも皆で一緒に作っているってのが何より楽しいんだ。
それに、女心とかも分かるしな〜」


「何だよそれ笑っ」


「でもさ、自分達で提案したその企画が雑誌に載って、 
その雑誌が書店とかコンビニに並ぶんだぜ?
そしてその雑誌を、読者が買ってくれて読んでくれている。
こんなにも嬉しい事はないよ。」


「元木…」


「モデルだけいたって意味ない。
モデルが読者を輝かせないといけないなら、
俺らがモデルを輝かさせないといけない。
だからこそ俺は、モデルも読者も輝ける雑誌を作りたいと思ってる。」
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