俺はお前がいいんだよ
*
翌朝、私は早めに出社し、昨日の資料に取り掛かった。
不思議なもので、一日時間を置くと少し頭が整理される。
昨日よりもすっきりとまとまった資料になってきた。説明があいまいな部分にマーカーを入れ、桶川さんに確認をお願いするメールをだす。
そのうちに出社してきた亀田さんが「おはよう」とさわやかな声をかけてくれる。
「おはようございます!」
「高井戸さん、いつも朝早いね」
「あー、朝は得意なんです」
「なんか元気で可愛いよね」
「そうですか? あはは、ありがとうございまーす」
軽く受け流していると、後ろからやって来た桶川さんが亀田さんの頭を掴んだ。
「あー? 職場でたらしこんでんじゃねぇよ」
「それ、桶川さんが言いますか?」
「俺はいいんだよ。高井戸。資料午後までにできそうか?」
「もうほぼ出来ました! でもあやふやなところを確認してほしいんですよ。メールでも出したんですけど、これです」
「へ……」
一瞬、桶川さんの動きが止まる。プリントアウトした資料を渡すと食い入るように見ている。
桶川さんの目はすごい速さで右と左を行ったり来たり。
ああ、この人やっぱり仕事できる人なんだなぁと改めて思う。
やがて、桶川さんの唇が、くっと上を向くのを見た。
「……いいな。昨日のよりすっきりとまとまっていて分かりやすい。お前、使えるじゃん」
「でしょでしょ。私ってば有能なので」
「調子に乗んな」
資料で頭をポン、と叩いて、桶川さんはデスクに向かう。亀田さんも私たちをニヤニヤ見ながら席に向かった。
翌朝、私は早めに出社し、昨日の資料に取り掛かった。
不思議なもので、一日時間を置くと少し頭が整理される。
昨日よりもすっきりとまとまった資料になってきた。説明があいまいな部分にマーカーを入れ、桶川さんに確認をお願いするメールをだす。
そのうちに出社してきた亀田さんが「おはよう」とさわやかな声をかけてくれる。
「おはようございます!」
「高井戸さん、いつも朝早いね」
「あー、朝は得意なんです」
「なんか元気で可愛いよね」
「そうですか? あはは、ありがとうございまーす」
軽く受け流していると、後ろからやって来た桶川さんが亀田さんの頭を掴んだ。
「あー? 職場でたらしこんでんじゃねぇよ」
「それ、桶川さんが言いますか?」
「俺はいいんだよ。高井戸。資料午後までにできそうか?」
「もうほぼ出来ました! でもあやふやなところを確認してほしいんですよ。メールでも出したんですけど、これです」
「へ……」
一瞬、桶川さんの動きが止まる。プリントアウトした資料を渡すと食い入るように見ている。
桶川さんの目はすごい速さで右と左を行ったり来たり。
ああ、この人やっぱり仕事できる人なんだなぁと改めて思う。
やがて、桶川さんの唇が、くっと上を向くのを見た。
「……いいな。昨日のよりすっきりとまとまっていて分かりやすい。お前、使えるじゃん」
「でしょでしょ。私ってば有能なので」
「調子に乗んな」
資料で頭をポン、と叩いて、桶川さんはデスクに向かう。亀田さんも私たちをニヤニヤ見ながら席に向かった。