俺はお前がいいんだよ


「……これ、別れたことになるのかな?」


呆れたように出て行ってしまった彼。
私までここを出て行ってしまったら、これで私たちお別れ? 終わりってこと?

そう考えたら涙が浮かんできた。

あー私ってバカすぎる。
桶川さんの隣に立つ自信がないからって、グジグジと言い訳めいてただの同居なんて言い張って。
こうして突き放されたらやっぱりここにいたいなんて思うなんて。

ストーカーがいつ来るか分からない自分のアパートに戻るのは怖い。
だからと言って、桶川さんの好意をまるまる受け取るのも怖い。
失ったときを思えば、どうしても一歩踏み出す勇気が出ない。


「……駄目だぁ。八方ふさがり……」


ついに涙が浮かんできて、私はそれをぬぐう元気もなく、流れるがままに涙を落とす。

もう、考えるの疲れてしまった。
どうせ桶川さん、週末帰ってこないって言ったし、さっぱりするまでここで泣こう。

荷物をまとめた鞄を玄関前に置き、それでも出ていくことにもためらいがある私は、考えるのを放棄してソファに縋りつきながら泣いた。

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