俺はお前がいいんだよ
「……だから、私っ……どうして桶川さんに好かれてるのか分からないんですよ。美人じゃないし、チビだし、特殊能力があるってわけでもないし」
だから不安だ。ただ物珍しいだけなら、私なんてすぐいらなくなってしまうんじゃないの?
「はぁ? どうしてそうお前は自分のことになると客観的な見方が出来なくなるんだ? 人に見やすい資料を作れるってことは、人の立場になって物を考えられるってことだろ。つまりお前は人にやさしいってことだ。加えて、調査能力に長けているのはお前が努力家で根気強いってことの証拠になるし、変な男に付きまとわれやすいのは運が悪い証拠だな」
「最後のはどうでもよくないですか?」
「歴代の男どものことはよく知らんが、たしかに粘着質の男には好かれるんだろうな。……同じ付きまとわれるのなら、俺くらいできる男のほうがよくないか? お前の届かないところのもんはとってやれるし、うまい飯も食わしてやれるし……」
そして彼はぎゅっと私を抱きしめて、耳もとに囁くように呟いた。
「お前が震える夜についていてやれる」
眠っている間の安心感。それはベッドのクッションがいいだけではないとその言葉で理解した。
「もしかして……、毎日ベッドまで連れて行ってくれてたのは」
「自覚ないんだな。お前、夜うなされてるんだぞ? ストーカー男がトラウマになってるんだろうけどさ。……そんなんで本気でひとり暮らしに戻るつもりか?」
「それは……」
「部屋の分け方はもうちょっと考える。なんならふたりで別の部屋に引っ越してもいい。だから……俺にしとけよ」
どう考えたって、面倒賭けてるのは私のほうなのに、どうして桶川さんがそんな風に言ってくれるのか。嬉しくてたまらない。