俺はお前がいいんだよ
「こっ、こんなに甘やかされたら、私ひとり立ちできなくなりますっ」
「はぁ?」
「私っ、桶川さんに依存するような女になりたくないんですよ。いつか、つまらない女って捨てられたくない」
半泣きでにじり寄ったら、彼はあっさり私に軽いキスを落とし、その後ほっぺを両手で挟んで締め付けてきた。
「ばーか。お前ほど面白い女いねぇっての」
「で、でも」
「それに、もう無理だな。なんてったって俺のほうがお前に依存している」
「へっ?」
潤んだ視界の中、イケメンの桶川さんが眉を下げ情けない顔をする。
「俺も結構粘着質だよ。飯食うときも、寝るときも、お前がいないとつまらねぇ。だから諦めて俺のものになっちゃえよ」
ちょ、待ってよ、ずるくない?
いつも腹が立つほどふてぶてしい癖に、なにその甘えたような顔。
ギャップ萌えなのか? よくわからないけど、その顔は私の胸にミラクルヒットした。
ああもう、ダメ。
この人と一緒にいたい。
いつか捨てられたらと思ったら怖いけど、そんなことどうでもいいと思うくらい彼を抱きしめたい。
笑ってほしいと願ってしまう。
自分から、彼の首にぎゅっと抱き付いて、宣言する。
「……そんなこと言ったら、豆狸にとり憑かれますよ」
「ははっ、望むところだよ、豆狸」
ポン、と頭に乗せられる手は大きくて暖かくて。彼の笑い声が聞けたことに心底ほっとする。
ああやっぱり敵わないなって思いながら、最後の意地で捨て台詞を告げる。