プレシャス~社長と偽りの蜜月~
一人娘の朱音は我がままで勝ち気な女の子。

俺は毎日彼女に振り回さていた。


母を5歳の時に亡くし、父の男手一つで育てられた俺には妹も弟も居なかった。
朱音は俺にとって妹のような存在でもあった。

俺は理系の国立大に進学。

アルバイトすらも困難な大学生活。
彼女のお世話もおざなりになった。

彼女も都内では有名なお嬢様学校に進学し、小さなお姫様も立派なレディに成長。



―――――16歳の誕生日を迎えた。


誕生日の夜。


俺は幼い頃、朱音のお城となっていたガゼボの前に呼び出された。

円い形をした金色の月が輝く夜だった。



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