プレシャス~社長と偽りの蜜月~
「俺のコト、そんなに嫌いか?」

「・・・」


「俺は朱音を愛してる・・・」

「私は離婚したい・・・」

「嘘ついた俺は仁志よりも悪い男なのか?」

私の今持つ記憶は雅人が与えた物だけど。


「私のコトを想って、仁志は死んだ…きっと私は自分と一緒に死んだと思っている」

「記憶がないから…現実はどんな男だったとしても美化しちまうんだな・・・生きている俺は朱音にとっては最低な男なんだな…でも、俺は朱音と離婚するつもりはない」

雅人は私との離婚には断固拒否を決め込む。


ガゼボで見た相合傘は私が書いた物。


自分の執事だった雅人に恋をした時期はあったんだと思う。


夕陽が沈み、黒いビロードのカーテンが降りる頃、邸宅に到着した。


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