またあう日まで
「綺島ちゃーーんっ!弁当、一緒に食べない?」
数学が終わってせいせいしていると、千尋ちゃんが声をかけてくれた。
手には可愛らしい弁当入れが握られている。
「た、食べる!!」
「おお、いい返事だね!じゃあちょっとだけ待ってて。」
千尋ちゃんは弁当入れを私の机の上に置くと、タタタと教室を出ていった。
飲み物でも買いに行ったのかな?
まぁいいやと思い、弁当を食べ始める。
「…やった…!唐揚げだっ」
隆兄特製弁当。
これが美味しいんだよなぁ……
料理が上手いのは本当に羨ましい。
去年の夏、友達から「お兄さんに弁当作ってもらってるの?うわぁブラコンかよ…」とお指摘を受けたので、次の日自分で作った弁当を持っていくと、一口食べた友達が次々と倒れていくという事件があったので、それ以降二度と包丁は握らないと決めた。
隆兄からも「お前料理なめてんの?」とお怒りを受けた。
……そんなわけで、料理はちんぷんかんぷんなのだ。
「あの時はすまない…皆……隆兄ありがとう……」
唐揚げを頬張りながら念を送る。
「綺島沙華さんっ」
「うおおおおおい!!?」
急に後ろからぽんっと手を置かれる。
「そんなに驚くことですか?ふふふ。」
驚くことだろ…!
なんか最近、驚いてばっかりな気がする。
「初めまして、ですわね。私、このクラスの学級委員長を務めさせていただいてる、柊 姫(ヒイラギ ヒメ)と申します。以後お見知りおきを。」
礼儀正しい挨拶に少しびっくりした。
フワフワのショートヘアがよく似合っている、可愛らしい女の子だ。
こういう子なら料理上手なんだろなぁ〜………
「ところで綺島さん。一人で弁当食べなさってるの?」
「あ、ちがうよー、千尋ちゃんと一緒に食べようって話になってるんだ。」
「あら、青葉さん?」
「今飲み物買いに行ってるみたいで…」
そう言うと、姫ちゃんは隣の席に座って、
「……もしよろしければ、また………私とも食べてくださる…?」
と、少しもじもじししながらそう言った。