遠い昔からの物語
「びっくりさせてごめんなさいね」
彼女は首を竦めて云った。
「あんな人だけれど、彼はあなたの間宮中尉の海軍兵学校時代の同期で、今は艦爆の相棒の神谷 稔中尉よ。わたくしは彼の婚約者の武藤 薫子。
どうぞよろしくね」
「カンバク?……あ、佐伯 廣子です。こちらこそよろしくお願いします」
慌てて頭を下げた。
わたしの家系は軍とは無関係で、応召で陸軍に取られた大叔父が日露戦争で戦死したくらいしか関わりがないため、専門用語は全くわからない。
「彼らは同じの飛行機に乗って闘う運命共同体なのよ。だから、婚約者のわたくしたちも仲良くなって一緒に銃後を守らないといけないわね」
薫子はそう云って明るく笑った。