遠い昔からの物語

男と女のまぐわいは、もっと気持ちの()いものだろうと想像していた。

……夫婦になる云うんは、こがぁに(にが)るもんなんじゃろか。

きっと、自分が女としてどこか欠陥があるから、こんなに(にが)るのだろうと思った。

見上げた中尉の顔は、苦しげで、鬼のような険しい形相をしていた。

……ただ(にが)るばかりのうちを、怒っとるんじゃ。
こんとなおなごじゃぁ、愛想尽かれるじゃろ。

婚約も取り消しになるかもしれん。

そう思うと、涙があふれてきた。

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