遠い昔からの物語

そのとき、初めて気づいた。

……うちは、こがぁにも間宮中尉のことを好いとったんじゃ。

なのに、わたしは自分の気持ちに目を向けようともせず、中尉を拒むような態度しかとってこなかった。

思えば中尉はいつも、わたしに優しく接してくれようとしていたというのに。

わたしはあふれ出る涙を(こら)えることができなかった。

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