溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜

どうしてこんなことを口にしたのか。二人の仲を見て確かにそんな疑問は沸いていたけど、聞くつもりなんてなかった。

「……す、すみません。余計なことを聞きました」

慌てて謝るが、九条さんの瞳は私を捉えたまま離してくれない。居心地の悪さに思わず俯く。

「見ろ」

するとそんな私の頭上から、いつもと変わらぬ声色が届く。

促されるまま顔を上げると、いつの間にか九条さんの視線の先には、くるくると目まぐるしく映像が入れ替わる電光掲示板が映っている。その中でコロパゴの最新ゲームのCMが流れているのに気がついた。

「コロパゴだ。また新しいゲーム出したんですね。さすがだなぁ」
「そうらしいな。さっきフリーペーパーにもでかでかと広告が載っていた」

二人で愉快な曲に合わせて流れるCMを眺めた。
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