溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜
同じベンチャー出身のコロパゴ。今では大手ゲームーメーカーと肩を並べるくらいの勢いがあって、もはや雲の上のような存在。私が入社した時くらいまではまだ小さな事務所で、僅か6名の社員でやっていたという話。
こんな短期間で成長した企業は今だかつてなかったようで、同業社の中では都市伝説みたいなものになっている。
「あ、社長だ」
CMの最後に満面の笑みで現れたのは井上社長。恐らく、九条さんと年齢は変わらないくらい。だけど放つオーラや雰囲気は全くといって真逆で、井上社長が白なら、九条さんは黒といったところ。
「偉くなったもんだな、あいつも」
「あいつって……まるで友達みたいな言い方ですね」
どこか親しみのこもった言い方に、疑問が浮かび聞き返す。
「あぁ、大学時代のな」
「えっ? もしかして、本当に友達なんですか?!」
ぼんやりと眺める九条さんに、興奮気味に問い詰める。そんな私に九条さんはやや怪訝そうな表情をして、そんなところだ、と答えた。