溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜



「見ていられなかった?」

福々亭に着き座るやいなや、ユリさんがそう聞いてきて、へ?っと変な声が出た。

「あの二人のことよ、九条さんと朱音っていう女」

突然思いもよらないことを言い出すものだから、ユリさんを見つめたままキョトンとする。

「あんなの見せつけられちゃったら逃げたくもなるわよね。可哀想に」

よしよしと私の頭を撫でるユリさん。どうして同情されているのかわからないが、ユリさんの優しい温もりが心地よくて、ゴロゴロと猫のようにされるがまま身を委ねる。

「私でよければいくらでも慰めてあげるからね」
「はい、ありがとうござい……」

って、ん? 待て待て、さっきからどうも話がおかしいぞ。どうして私が同情されて、慰められないといけないんだ。

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