溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜
「今日はやけに早いわね」
「あ、はい。なんかやる気でなくて。ユリさんは外回りは終わったんですか?」
「今終わって帰るところ。ところであんたなにかあったの? 暗いけど」
声を弾ませたつもりなのにどうやらユリさんにはお見通しらしく、すぐに勘付かれた。恐らく誤魔化すなんて無理そうで、正直にさっきのことを話した。
「……そう、そんなことが。可愛そうに」
よしよしと優しく私の頭を撫でる。その手が心地よくて一気に目頭が熱くなる。
「うちのお店、来る? ゆっくり話さない?」
「え? お店って?」
「ついておいで」
ユリさんは私の疑問に答えることなく、こっちよと手を引く。
「えっ、どういうことですか?」
「いいから」
強引に押し切られわけがわからないままどこかへ連れて行かれる。お店っていったいなんだろう……? どういうこと?