溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜

出先から来たから今日は車だという九条さんに連れられ、近くのコインパーキングへと向かう。

まさかこんな展開になるなんて思いもよらず、緊張しながら二度目の助手席に座った。
九条さんにいたっては特段変わったところはなく、慣れた手つきでエンジンをかけると車を発進させた。

以前乗せてもらった時も思ったが、この大きなSUVの車がよく似合っていて、ハンドルを握る仕草も男臭くて見惚れてしまう。

そんな色気の溢れる彼が私なんかのどこを好きになってくれたのか不思議で仕方ない。

それにこれからは会社の上司兼、恋人として色んな段取りを踏んでいくなんて、想像しただけで心臓がおかしくなってしまいそう。

「どうする? 直帰する?」

そんな私に追い打ちをかけるように九条さんが問いかけてきて、咄嗟に首を振った。帰りたい気持ちは山々だが、まだ仕事がたくさん残っているのが現実。

< 197 / 291 >

この作品をシェア

pagetop