溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜

「ふふふ、やっと気づいた?」
「どどど、どーしたんですか!? 男装の趣味があったんですか?」
「なに言ってるのよ、バカね。でもそんなところが好きよ」

そう言った後、何を思ったか私を抱きすくめてきた。

「ちょっ、ユリさん!」

仕立てのいいスーツ姿に、ロングだった髪はウイッグなのかなんなのかショートになっていて、まるで本当の男の人みたいで無意識に心臓がドキドキしてしまう。

「柔らかいしちっこいし、可愛い~。早くこうしておけばよかった」
「く、苦しいですユリさん」
「やだ~離さない」

堪能するかのようにきつく抱きしめるユリさん。なになに?どうしちゃったの?

するとタイミングを計ったように、エレベーターの扉が開いた。人の気配がして嫌な予感がしながら視線を向けると、そこにはエレベーターを待つ九条さんがいて、私達に気がつくと一気に眉根を寄せた。

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