溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜


「ま、いいわ。その話はあとでゆっくりしましょ。西沢、朝ごはんまだなんでしょ? 甘いカフェオレいれてあげるからカフェスペース行こう」

言いながら私の腕を取りエレベーターを降りる。そんな無邪気に行こうって言われても……。恰好は男で口調はいつも通り。もう違和感しかないんですけど。

「あ、あの! ユリさんが男装の趣味があったんなんて、 全然知りませんでした。いつからですか?」
「え~? 何言ってるの、西沢」
「え? じゃあどういう……」

そこまで言いかけたところで、九条さんがオフィスへ引きずられるように連れて行かれる私を、ちょっと待ったと言って止めた。

「西沢、お前まさかと思うけど」
「え?」
「ユリのこと女だと思ってたのか?」

思いもよらない九条さんの問いかけに唖然とする。女だと思ってたのかって、え? どういうこと?

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