溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜
「私が嫌なんです。そうなりたいです、九条さんと」
「……」
「ダメですか?」
なんの反応も示さない九条さんに不安になり、視線だけ上げると、そこにはちょっと困ったような顔をしてるのが視界に入った。
やっぱり処女はめんどくさいのかな。いい年して経験がないなんて、面白味のない女だと思っているのかな……。
「まいったな」
「え?」
「お前には揺さぶられっぱなしだ。手加減できなかったらすまん」
そう言うと私の膝を一気にすくいあげ、抱き上げた。
「やっ、九条さん! 降ろしてください!」
「火をつけたのはお前だからな」
「えっ? 何? どういうことですか?」
そう問うも無言でスタスタと寝室へと入っていく。そして扉を開けた瞬間、大きめのベッドが現れて息をのんだ。