溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜
「嫌だって言ってももう逃がしてやれないからな」
「ひゃっ」
ベッドに投げ降ろされると、逃がさんとばかりに九条さんが覆い被さってきて、さっきとは全く別物の深い深いキスが繰り返された。
優しく歯列をなぞられ、口内をじっくりと這う。指先はいつのまにか私の体をなぞっていて、もうこれだけで息があがってしまっている。そんな自分が恥ずかしくて、キスの合間にキュッと指を噛む。
「なにお前、ギャップ、ヤバイな」
観察するように上から眺めそう言う。やばい? え? なにかまずいことした?
と内心焦っていると、九条さんはクスりと笑い、いつのまにか剥ぎ取っていた服を投げ捨て、素肌に舌を這わせた。その瞬間、全身に電気が走ったようにピクンと背中が浮く。
さっきまであれこれ考えていたのに、いつの間にか何も考えられなくなっていて、まるで宝物にでも触れるように優しく扱う九条さんになにもかも委ねていた。