溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜



ベッドサイドのライトが煌々と揺らめく中、顔に影を落とした九条さんが私の髪を優しく撫でる。

九条さんはどこまでも優しくて、私をとことん甘やかしてくれる。抱き合っている時も緊張と痛みで体を震わせる私に、何度も好きだと言ってくれ、まるでそれらを和らげる魔法をかけてくれているようだった。

その優しさは溢れるように彼の指先や熱からも伝わってきて、自然と彼を受け入れることができた。誰かに愛される喜びを全身で知った夜だった。

「そんな意地張ってないで、今年は帰れよ」

そしてつい今しがた。私の中にある払拭しきれない両親への思いを打ち明けたところ、さっきから何度も実家に帰れと言うのだ。
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