溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜
「こんな非日常味わっちゃったら、帰りたくなくなっちゃいますね」
「だな」
「あー、すごく幸せだなぁ~」
俺の首に手を回しながらそう言うと、さらに密着してくる。そんな彼女の濡れた髪を耳にかけると、それを合図にどちらかともなくキスを交わした。
水面に映る二つの影。何度も離れてはひっついて。それを見ているのは月ばかり。
「あっ、ちょ、九条さ……ンッ」
「ん?」
「ダメです。こんなところで」
「なんで」
「な、なんでって……」
恥ずかしそうに俯く彼女をわざとじっと見つめる。どんどん頬が赤くなって目が潤んでいくその姿が可愛くて仕方ない。堪えきれずドレスの肩ひもに手をかけると、西沢が息を飲むのが分かった。