ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ2 【完】
駅から徒歩10ぐらいにあった都営住宅の5階、そこがタクミの自宅だった。

チャイムを鳴らして、しばし待つ。

「どなた?」

玄関を開けた女性は目がうつろ。

血色の悪い肌に、シミやシワが目立つ。ひどく疲れているようだ。

「朝早くにすみません」

軽くあいさつすると、僕の全身を舐めるように見て、

「巧の友達?」

と、困惑したような顔で言った。

「はい」

「……あの子にもいたのね。部屋はあれよ」

身体をよけながら、顎で示す。

「お邪魔します……タクミ、僕だけど」

部屋の前まで行って声を掛けると、すぐに中からタクミの声がした。

「入っていいよ!」

案内した女性はなぜか、僕の背中にピタリとついて、ひどく怯えた表情。

襖を開け、とたんに驚く。

……この箱の山は!?

まっ先に目に飛び込んできた、平積みのダンボール。

すべて中身は封の開いたCDで、ジャケットは同じだった。

彼も、なんとか商法ってやつの犠牲者だ。

CDは本棚からあふれたマンガがフィギュアの台座となり、壁には所狭しとアイドルのポスターが貼られている。

「たくちゃん、今日も学校行かないの?」

僕を盾にして問う女性。

「うるせぇ! てめ゛ぇーは入ってくんな!」

「は、はい。ごめんなさい……」

朝には似つかわしくない罵声に、呼ばれた僕まで気を遣ってしまう。

――バタンッ!

「……今の、お母さんでしょ?」

「フッ、あんなの母親じゃねえよ」

嘲笑するその顔は、僕の知っているタクミではない。



 

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