ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ2 【完】



トンッ、トッ――

         キィューーーーーッ――

 トッ――

         キューーーーーッ――

「♪~フフンッフン。フフッフ~♪」

かすかに聴こえてくるタクミの鼻歌に交じりながら、

トンッ、トッ――
         キィューーーーーッ――

擦れる音が、風呂場に近付いていく。

僕は、部屋と廊下を繋ぐドアの下から漏れる明かりを見ていた。


……な゛!?

トッ、トッ――
         キューーーーーッ――
   トン――
         キューーーッ――

その光の中を、ゆっくりと横切る黒い影。

――キィィッ。

おそらく、脱衣所の扉が開いた音だ。

そこで奇怪な音はしなくなる。

……動け!

懸命に自分の身体命ずるも、言うことを聞いてくれない。

……クソッ、動けって!

――キュ、キュ、キュ。

……やめろ! 開けるな!

見えていなくても、わかる。

横切った黒い影が、風呂場の扉の前でじっとタクミを待ち構えていると。

次の瞬間!!

「う゛あ゛ぁ゛あ゛っ!!」

悲鳴を合図に、僕は呪縛から解き放たれた。

すぐに部屋を出て、風呂場に向かって走る。

「タ、タクミ!」

彼は全裸のまま、浴室内で気絶していた。

……手足はある。

全身血まみれということもない。

「おい! 大丈夫か!」

あられもない裸体をまたぎ、頬を叩く。

すると、ハッとしたようにタクミは目を醒ました。

「なにがあった!?」

「か、カタマり……黒イ……」

タクミは声を震わせながら、天井を指さした。

「ゴクッ」

僕は息を呑み、人さし指の先を追う。


そこには!!


――カサカサカサッ。

「あ?」

光沢のあるお肌、それはもう豊満なボディのゴキブリが天井を這っていた。

……クッ!

「ハハハハッ。なんだよ、もう!」

一気に緊張の糸が切れ、笑い飛ばす。

「お前、早く服を着ろ!」

タオルを顔に投げつけ、僕は部屋に戻る。



 
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