ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ2 【完】
3時間後。
工場の前はものものしい雰囲気に包まれていた。
通勤、通学ラッシュの時間帯にもかかわらず、その人々の熱が、この異様な空気を作りあげている。
ごった返す野次馬を掻きわけ、規制線の最前列に立ち、中にいる捜査員を隈なく探す。
視界の端には、脚立を立ててテレビカメラを構える報道関係者の姿。
……ぁ、いた!
「宇治木さーん!」
予想通りの彼の登場に、僕は大きく手を振ってアピール。
当然、周りから冷ややかな視線を浴びた。
「前原くん!? なぜ、キミがここに?」
「どうしても、あなたに訊きたいことがあって……」
「僕に? 静岡からわざわざ?」
「はい」
隠すことにした。浩介やタクミとの関係を。
なぜなら、騒然となった動物園から脱出したあのとき、宇治木を目撃したからだ。
僕がふたりを呪いのゲームに巻きこんだ張本人だなんて、口が裂けても言えるわけがない。
……ま、もしバレたとしても、罪に問われることはないだろうが。
“呪い”という非科学的な現象は、立証も立件も難しいのだから。
「ちょ、ちょっと待ってね」
宇治木は、背後を通った捜査員の肩に手を置き、なにやら小声で話しはじめる。
僕は聞き耳を立てた。
「どうだ?」
「うぅ~ん。この件も、例のやつでまちがいないな。昨日の動物園での事件に加えて、これで何十件目だ?」
「さぁ……いかんせん多すぎて、途中で数えるのをやめたよ」
「見ろよ、あれ。また、マスコミに箝口令を敷かなきゃ」
「……そうだな」
ふたりは目だけで別れを告げ、そのあと、宇治木が再び僕の前に立った。