ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ2 【完】
飛び乗った新幹線の中でも気が気でない。
何度も時計を見て、心がせく。
駅から家に向かう途中の100円ショップで、ある物を買って、ポケットに忍ばせた。
「母さん!」
「祐一郎……」
「彼女は今、どこの署に!?」
「それが……」
落胆した様子の母は、驚くべき場所を告げる。
「病院? どうして!?」
菜摘が見つかったのは、世界遺産認定に沸く富士山の麓。
県内外からたくさんの観光客が訪れる、人気のスポットだった。
そこで彼女は、壁に落書きをして通報され、器物損壊の罪で現行犯逮捕されたらしい。
その際、人間とは思えないほどの力で激しく暴れ、今は病院で治療中だと言う。
「とても話を訊ける状態じゃないって……もしかしたら、ことみを殺した証拠があっても、心神喪失で罪に問えない可能性があるって、刑事さんが……」
「そんな……」
……いや、ある意味チャンスだ!
警察だと、きっと近付けない。だけど病院なら、まだ直接会える可能性が高い。
「母さん、協力してくれ!」
「え!? なにを?」
僕は家の電話を母の前に置き、受話器をあげて発信者を非通知にする3桁を押す。
それから、刑事にもらった名刺の携帯番号を打ちこんだ。
――プルルルルッ。
呼び出し音が鳴ったのを確認し、母に受話器を渡す。
「菜摘の母親のフリをするんだ!」
この言葉を添えて。
もちろん困惑していたが、僕の気迫に負けたのか、手に取って耳に当てる。