ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ2 【完】
『はい、もしもし』
『やっと出た!』
それは、約束の相手。
『ずっと待ってるんだけど、どういうこと?』
『杉山さん、すみません。急遽、予定が……』
『ぁ゛?』
そうなって当然だが、低く濁った声に背筋が冷える。
『ぁ、でも、夜にはそっちに行こ……』
『テメェ、ふざけんなよ! もとはといえば、誰のせいでこんなことになってると思う?』
『ぇ……』
『テメェが巻きこんだからだろーが! 友達ヅラして、本当は、オレらのことなんて、どうだっていいんだろ?』
僕は、彼の怒りを鎮める言葉を見つけられない。
『この際だから言わせてもらうけどな! オレ、お前のことを一度だって友達だと思ったことはないから! 虫唾が走るんだよね、お前のキモい顔を見てると』
『…………』
死が迫る焦燥は、本性をさらけだす。
僕らは、ネットで繋がった新時代の友達だった。でも所詮、うわべだけ。
それを証明するように、僕はまだ、彼の誕生日すら知らない。
知っていたとしても、どうだろう。
SNSにアップされているどうでもいい記事に、必ず【いいね!】をしているあの人。
同い年、同僚、同級生、同郷。“同”が付きさえすれば、友達でいたがるあの人。
長く会っていなくても、これから会う予定すらなくても、指先ひとつで簡単に友情が継続される今の時代。
ネット上で紡がれる絆は昔のそれに比べると、あきらかに軽薄で、儚い。
『いいこと教えてやろうか? オレだけじゃねぇぞ、お前のことが嫌いなのは。みんなだよ、みーんな! だからさ、お前が死ねよ。なぁ? 死んでくれよ! 死ね! 死ね!』
――ッ、プー、プー……。
罵詈雑言の並べられた電話は、一方的に終了した。