ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ2 【完】
バイクを家に置き、その足で駅に向かった。
電車を乗り継ぎ、1時間に1本しかない路線バスを待つ。
約2時間かけて、磨理子さんの母親が入院している病院にたどり着く。
3度目の面会。
強面の警備員は俺の顔を見るなり笑顔を向け、ろくにチェックもせずに案内してくれた。
「あらまぁ! また来てくれたの?」
鉄格子の中から、シワだらけのカサついた手で、俺の腕を強く握る磨理子さんの母親。
前に来たのは、沙奈に一度目のさよならを告げたあと。ひとりで。
あれからそんなに時間が経っていない。
それもあってか、俺は藪から棒に尋ねる。
「ここに沙奈が来ませんでしたか?」
「え!? ……沙奈って、はじめて会ったとき一緒にいた子よね?」
あきらかに困惑した表情。
嘘をついているとは思えない。
……ここじゃなかった。
「すみません、いきなり変なこと訊いて。今のは気にしないでください」
とは言ったものの、相手からすれば、「はい、そうですか」とはならない。
執拗に詳細を聞きだそうとする母親を諭すため、別の疑問符でごまかす。
「あの……もう一度、貸してくれませんか? 磨理子さんの日記を」
「……ぇ、ええ」
“なぜ?”そんな言葉を顔に浮かべながら、ベッド脇の引き出しに手をかける。
理由を訊かれたくない俺にとって、それは助かった。
きっと、母親は哀しむだろう。
俺たちに降りかかった呪いが、まだ終わっていないと知ったなら。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
ここへ来る途中に思った。あのゲームは終わっていない。
だとしたら、俺は大事な“なにか”を見落としたはずだと。
再び借りた日記の中に、その秘密は必ず存在する。
そう信じていた。