長い夜の終わりにキスを
...わかっているのに、わたしに任せる、
・・・・・・・
いやーー任せるしかないほどのモノ。これで私は確信した。
「わかってはおるのじゃがーー」
「マスター。」
今度は私がマスターの声を遮って声を上げた。
今まで黙っていたからか、アベル君とオルトさん、そしてマスター三人の視線が一気にマスターから私に移ったのを感じた。
しっかりとマスターを見つめながら私は言葉を続けた。
「...それって、内容はノーマルクエストでも、依頼主はこの国の、国家薬術機関なんじゃないですか?」
国家薬術機関ーーー名前の通り、薬学の研究を主とする国の研究室が集まっている場所。
最近では薬学だけに問わず、魔法と薬学を混ぜ合わせて新しい治療法、治療薬を作ることも行っているそうだ。
「...そうなんじゃ。」
そしてマスターは観念したようにそれを認めた。
「...っぉいおいおい!何言ってんだよマスター!」
その言葉を聞いたオルトさんがマスターの胸倉を掴み、声を荒げ、その声に何事かとガヤガヤしていたギルドの空気が一気に静かになるのを感じた。
だがオルトさんはそれには気づいていないようで、さらに言葉を続ける。
「アリアちゃんにそんなクエスト受けさせるわけーー」
「オルトさんいいです。大丈夫ですよ。...手、放してください。」
どうにかオルトさんを落ち着かせようと私はそう言った。
...それに、状況があんまりよくない。
普段、オルトさんが温厚な分、今マスターの胸倉をつかんでいる、なんて他の人の興味を引くだけだ。
誰もが私たちのことを注目している、というのはわかっている。
それにこれは ”ただのデンジャークエストではない” という確信をすでに得ていた私は、
「ちょっと、外で美味しい空気でも吸いながら話しませんか?」
この場から離れることを先決とした。